相続税の各種控除について

相続税には税額を控除する制度があります。
税額控除とは、条件を満たしていることで相続税の納税額を下げることができる制度のことで、代表的な控除の種類として、以下の6種類があります。


① 贈与税額控除
② 配偶者控除(配偶者の税額軽減)
③ 未成年者控除
④ 障害者控除
⑤ 相次相続控除
⑥ 外国税額控除

これらの控除制度を活用して相続税額を下げることができるのは、相続に詳しい、相続の専門税理士だからです。
各種控除の詳細の内容をご確認いただき、他にも活用できる控除がある可能性がありますので、是非ご相談ください。

相続税の配偶者控除

1. 相続税の配偶者控除(配偶者の税額軽減)とは

なぜ、配偶者は一定額まで相続税が控除されるのか。
それは夫婦が、婚姻期間中、共同して財産を形成しており亡くなった配偶者(被相続人)の財産も配偶者(相続人)の協力があって築かれたと言えるからです。また、被相続人と相続人が夫婦の場合は、生活を共にしているので相続財産に対する配偶者(相続人)の生活保障という側面もあります。そのため、その他の相続人より配偶者が優遇されているのです。なお、相続税の配偶者控除を受けるためには婚姻していればよく(そもそも婚姻していなければ相続人に該当しません)婚姻期間の要件はありません。

2. 控除の内容

1. 1億6000万円まで

2. 配偶者の法定相続分相当額まで

上記のどちらか多い金額まで配偶者は相続税が掛かりません。

3. 配偶者控除を使わないほうがいい場合とは

配偶者控除が相続税の対策に有用であることを解説しましたが、配偶者控除を使わない方が良い場合の相続も存在します。
それは配偶者である相続人が高齢であり、かつその他の相続人として子供が存在する場合です。特に相続財産に不動産が含まれる場合は配偶者控除を使わずに直接共同相続人である子供に相続してしまった方がいいです。なぜなら、近い将来再び相続が開始し結果的に相続人である子供にすぐに相続移転することになる可能性が高いからです。(二次相続の考慮)

4. 配偶者控除を受けるときの注意点

1 相続税の申告をしましょう

配偶者控除は税務署に対して申告しないと、その控除を受けることはできません。自分の相続は配偶者控除を使えば相続税は掛からないので申告をしなくても良いと言いうことにはならないのです(相続税の基礎控除の場合は、基礎控除額分を相続財産から控除し、相続税を課税する財産が無かった場合は何ら申請を要しません)。

2 相続税の申告期限に注意しましょう

相続税の配偶者控除の申告は相続税の申告期限(相続開始から10カ月)までに行います(相続税の申告と同時、相続税の申告後は更正手続きとなります)。相続税の申告書(又は更正の請求書)に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付することにより、3年以内までの分割は税額軽減の対象にすることが出来ます。

5. 配偶者控除による税額軽減に必要な書類

1 戸籍謄本

配偶者(相続人)であるということを証明するために戸籍謄本を添付します。

2 遺産分割協議書/遺言

配偶者の取得した財産が分かるように遺産分割協議書、遺言書等の書類も添付します(遺産分割協議書の場合は印鑑証明書の添付も必要になります)。
※相続税の申告後に行われた遺産分割に基づいて配偶者の税額軽減を受ける場合は、遺産分割が成立した日の翌日から4カ月以内に更正の請求という手続きが必要となります。

未成年者控除

1. 未成年者控除とは

未成年者控除とは、18歳未満の未成年者が相続人の場合に、相続税額から一定の金額が控除される制度です。課税対象額から控除されるのではなく、納める税額自体から直接金額を差し引きます。

2. 未成年者控除の要件

・相続または遺贈により財産を取得している
・相続、遺贈で財産を取得した時に「日本国内」に住所がある
・相続、遺贈で財産を取得した時に「18歳未満」である(令和4年3月31日以前の相続・遺贈については20歳未満)
・相続、遺贈で財産を取得した人が「法定相続人」である
要するに、日本に住んでいる未成年者の法定相続人がこの未成年者控除制度の対象となります。

3. いくら控除できるの?

控除される税額は、次の計算式によって求めます。


未成年者の控除額=(18歳-相続した時の年齢)×10万円


※相続した時の年齢は、1年未満の端数を切り捨てます。18歳まで1年未満のときは、1年として計算します。
もし、その未成年者の相続税額より控除額が大きくなってしまい控除しきれない場合は、その未成年者の扶養義務者で同じ相続人の立場の人であれば、控除しきれない部分を自分の相続税額から控除できます。一般的には親権を持つ親が該当します。

贈与税控除

1. 贈与税額控除とは

贈与税額控除とは、贈与税と相続税を二重に支払わないようにするための制度です。相続が発生すると、これまでは相続開始前3年以内に贈与された財産を相続税の対象としていましたが、令和6年1月1日より相続開始前7年に変更されました。しかし、この期間に贈与税を支払っている場合、支払った贈与税の金額分は被相続人から贈与を受けた相続人の相続税から差し引くことができます。

2. 暦年贈与と相続時精算課税

暦年贈与

暦年贈与とは、1年間に贈与された金額のうち、110万円までは贈与税がかからないというものです。令和6年1月1日より、下記の表のとおり段階的に加算対象期間が延長され、この期間内に贈与された財産は、贈与税がかかっていない場合も相続財産として持ち戻されます。

加算対象期間内に110万円を超えて贈与されていた場合は贈与税を納税する必要がありますが、相続財産として持ち戻されるため、二重に課税されることがないよう贈与税額控除が適用されます。

相続時精算課税

相続時精算課税とは、特定の受贈者・贈与者間で行う贈与で、110万円の基礎控除(令和6年1月1日以降の贈与の場合)を控除し最高2,500万円までは贈与税がかからない制度です。ただし、財産を贈与した人が亡くなった時は、相続時精算課税を選択した以降に贈与された財産はすべて相続税の対象となります。相続時精算課税を選択後2,500万円を超えて贈与されていた場合は、超えた分については贈与税を納税する必要がありますが、この分も相続財産として持ち戻されるため、二重に課税されることがないよう贈与税額控除が適用されます。

3. 贈与税額控除の計算

暦年贈与を受けた場合は、下記の計算式で控除額を求めることができます。

A…贈与を受けた年分の贈与税額
B…贈与を受けた年分の贈与財産の合計額
C…贈与を受けた年分の贈与財産の合計のうち、相続税の課税価格に加算した贈与財産の価格

※相続開始日が令和9年1月2日以降の場合、加算対象期間内に取得した財産のうち相続開始前3年以内に取得した財産以外の財産については、贈与により取得した財産の価格の合計額から100万円までは相続税の課税価格に加算されません。

相続時精算課税の場合は、被相続人から相続時精算課税に係る贈与を受け納めた贈与税額を控除します。 

障害者控除

1. 障害者控除とは?

障害者控除とは、85歳未満の障害者が相続人の場合に、相続税額から一定の金額が控除される制度です。ポイントは、課税対象額から控除されるのではなく、納める相続税額自体から直接金額を差し引くことができる点です。

2. 障害者控除の要件

1 相続または遺贈により財産を取得している
2 相続、遺贈で財産を取得した時に「日本国内」に住所がある
3 相続、遺贈で財産を取得した時に「障害者」である
4 相続、遺贈で財産を取得した人が「法定相続人」である
要するに、日本に住んでいる障害者の法定相続人がこの障害者控除制度の対象となります。

3. 障害者の定義とは?

そもそも障害者にはどのような人が該当するのでしょうか。国税庁サイトによると、障害者には一般障害者と特別障害者に区別されており、それぞれ次のような人と定義されています。

1 一般障害者

  • ・精神保健指定医などにより知的障害者(軽度・中度)と判定された人
  • ・精神障害者保健福祉手帳(2級・3級)の交付を受けている人
  • ・身体障害者手帳(3級~6級)の交付を受けている人
  • ・戦傷病者手帳の交付(軽度・中度)を受けている人
  • ・6か月以上寝たきりで重い介護を要する人で、一般障害者と同等な障害を持つ者として市町村長等の認定を受けている人
  • ・精神または身体に障害のある65歳以上の人で、一般障害者と同等な障害を持つ者として市町村長等の認定を受けている人

2 特別障害者 

  • ・精神保健指定医などにより知的障害者(重度)と判定された人
  • ・精神障害者保健福祉手帳(1級)の交付を受けている人
  • ・身体障害者手帳(1級・2級)の交付を受けている人
  • ・戦傷病者手帳の交付(重度)を受けている人
  • ・原子爆弾被爆者で厚生労働大臣の認定を受けている人
  • ・6か月以上寝たきりで重い介護を要する人で、特別障害者と同等な障害を持つ者として市町村長等の認定を受けている人
  • ・精神または身体に障害のある65歳以上の人で、特別障害者と同等な障害を持つ者として市町村長等の認定を受けている人

3 いくら控除できるの? 

控除される税額は、次の計算式によって求めます。

  • ・一般障害者の控除額=(85歳-相続した時の年齢)×10万円
  • ・特別障害者の控除額=(85歳-相続した時の年齢)×20万円

※相続した時の年齢は、1年未満の端数を切り捨てます。85歳まで1年未満のときは、1年として計算します。

外国税額控除

1. 海外で払った相続税は日本の相続税から控除できます

相続税の外国税額控除は、海外で支払った相続税を上限として、日本で支払う相続税のうち海外財産が占める割合分の相続税を控除できるという内容になっています。
控除できる額については下記(1)、(2)のいずれか「少ない方」の金額となります。


【相続税の外国税額控除】
※①、②いずれか「少ない方」の金額
1 外国で支払った「相続税に相当する税」
2 相続税の額×(海外にある財産の額÷相続人の相続財産の額)

2. 適用を受けられる者は「無制限納税義務者」のみ

相続税の外国税控除の適用を受けられるのは、下記(1)、(2)の両方に該当する方となります。


【外国税額控除の適用を受けられる者】
※①、②の「いずれも」該当する方
1 相続(又は遺贈)によって、日本国外の財産を相続(取得)した方
2 日本国外の財産について、その外国において“相続税に相当する税”が課税された方

3. 相続税の外国税額控除を適用する場合の手順と添付書類

続税の外国税額控除を適用する場合には、相続税申告書第8表の記載が必要となります。なお、記載方法については、書式をご覧ください。

相次相続控除

1.相次相続控除とは

短い期間に2回相続が発生してしまったときには、控除があります。

短い間に、相続が2回以上も起こると、相続人には大変大きな負担がかかります。相続したばかりの財産に再び相続税がかかってしまうからです。

例えばとしては父親が亡くなり、財産を相続した母親が数年後に亡くなったといった状況があります。このような相続を相次相続といいます。

このような相続が起きた場合には法定相続人に限って控除があり、今回の相続開始前10年以内に、続けて相続があった場合1回目に払った相続税の一部を差し引くことができます。このような控除を「相次相続控除」と言います。

加えて1番目の相続のことを「第一次相続」といい、2番目の相続のことを「第二次相続」といいます。


2.相次相続控除の計算

相次相続控除によって差し引かれる金額には、決められた計算式があります。

相続を続けて受ける人の負担を軽くすることが目的であるため、第一次相続と第二次相続の間隔が狭ければ狭いほど差し引かれる金額が大きくなるようになっています。

逆に、第一次相続と第二次相続との間が長いほど、差し引ける金額は、少なくなってしまいます。

しかし期間以外にも相続人の純資産額や第一次相続の際に課せられた相続税等も計算する際に考慮するため、正確には厳密な計算が必要となります。
相次相続控除は第二次相続の申告時に控除するものとなるため、相続税専門の税理士に依頼することをおすすめいたします。

A=今回の被相続人が前回の相続で支払った相続税額

B=今回の被相続人が前回の相続でもらった財産価額

C=今回の相続における財産価額の合計額

D=今回の相続で相次相続控除をうける相続人が取得した財産価額

E=前回の相続から今回の相続までの経過年数(1年未満は切り捨て)要するに、「前回の相続から今回の相続までの経過年数」×10%を減額した金額
となっています。

3.相次相続控除が適用できる者の要件

以下の3つの要件があります。すべての要件に当てはまる必要があります。

相続人であること

今回の相続の被相続人の相続人であることが条件です。そのため、遺言書で財産をもらった受遺者や、相続放棄をして生命保険のみを取得した者などは含まれません。

今回の相続発生前10年以内に発生した相続により被相続人が財産を取得

連続して10年以内で相続が発生している場合にのみ適用が可能です。

前回の相続で被相続人に相続税が課税されていること

前回の相続で被相続人が相続税を支払っていることが要件となります。例えば、配偶者の税額軽減等で前回の相続では相続税の納税が生じていなかったようなケースでは、この要件には該当しないこととなります。

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